「毎年、この時期になったら、必ず黄砂の話ですね。」
そういえばこの時期は、黄砂の話が多い。
「いやなに、個人的にも興味があるんですよ。」
「万葉の昔、初夏の季語でもある”かすみ”、あの時代には、いったいどういう自然現象なのか想像もつかなかったことでしょうね。」
「ころもほすてふ天の香具山、の衣は砂だらけになっていたという記述はないのかなあ。」
ところでこの天の香具山というのも、これは奈良県にあるのですが万葉集よりも古く古事記の頃より出てきます。
天から降ってきたとされるこの山は、実は天上界にあって2つに分かれて落ちてきたそうです。でそのひとつが天の香具山でもうひとつが伊予の国に落ちて、とあります。『釋日本紀』の伊予国風土記逸文は、次のような地名説話を伝えています。
伊予の郡。郡家より東北のかたに天山(あめやま)あり。天山と名づくる由は、倭(やまと)に天加具山あり。天より天降(あも)りし時、二つに分れて、片端(かたはし)は倭の国に天降(あまくだ)り、片端は此の土(くに)に天降りき。因りて天山と謂ふ、本(このもと)なりこれが実はうちの会社の近くにある天山「あまやま」と呼ばれるところです。
この空から降ってきてできた山という古事に、僕は新説を唱えようかと。それは「黄砂で出来た山なのである」と。
昔々のお話です。ある春の日、これまでだれも経験したことのないほどの西風が吹きました。だれも目なんて開けていられません。人々は家を一歩もでずに、息を潜めていました。家の中には風で運ばれた砂が堆く積もって行きます。そんな西風が3日3晩吹き荒れました。やっと風が収まったので、外にでてみると、目の前になんと小山が出来ているではありませんか。
人々はこれは天から降ってきた山なのだと畏れ大切にするようになりましたとさ。なんか日本昔話みたいになりましたが、それほどここのところの黄砂が気になります。
舒明天皇の国見歌です。
大和には 群山あれど
とりよろふ 天の香具山
登り立ち 国見をすれば
国原は 煙 立ち立つ
海原は 鴎(かまめ) 立ち立つ
うまし国ぞ 蜻蛉島(あきづしま) 大和の国は
さあさあ、松山にお越しの際は、その天山までご案内します。というわけで、春一番が吹き荒れた先週末は、砂混じりのすさまじいものでした。こうして、本格的な春は近づいて来ているのですが、林道の雪はまだまだ融けそうな気配はありません。
北の島に電話して、「雪はどう?」
って聞いたら「今も降っていますよ。」だそうな。いいよ雪は、春になれば融けるから。
きょうの一枚
この砂漠も生きていて、西から東へ移動しています。やがて湖を完全に覆いつくして、さらに東へ向かっています。TDNも、今年も西から東へ。そうそう、KTM950アドベンチャーも出場します。これも西から東へ、なのか?